中川運河と堀川を繋ぐ水運の交差点。東洋のパナマ運河「松重閘門(まつしげこうもん)」周辺を歩く

名古屋都市計画初期の事業として行なわれた中川運河の開さくに伴い、1930年に作られた「松重閘門」。エキゾチックな雰囲気を持つ4基の塔を眺めながら周辺を歩けば、名古屋の歴史に思いを馳せるひと時が過ごせそう。

都市景観重要建築物として市民に愛される昭和の遺構

内陸部から港頭地区へ荷物を運ぶために船が往来していた堀川。しかし、過密になってきた堀川の運行をスムーズにするために1926~1932年にかけて整備されたのが、中川運河と松重閘門だ。堀川と中川運河では水位が違うため、閘門内の水位を中川運河の高さまで下げて、船が堀川から中川運河に渡れるようにする必要があった。この閘門式で水位を調整する方式は、太平洋とカリブ海を結ぶパナマ運河と同じ。このことから松重閘門は“東洋のパナマ運河”と呼ばれ、長年にわたり重要な水運施設として産業の発展に寄与した。

“中川まちなか博物館”として次の世代に歴史を紡ぐ

貨物輸送形態が自動車輸送に移行し、1976年に使用停止となった松重閘門だが、1977年に住民からの要望で存続されることが決定。「水上の貴婦人」と称されたヨーロッパの城塔を思わせる4つの塔が優美な建造物は、1986年には名古屋市指定有形文化財に、2012年には名古屋市の名古屋まちなみデザイン20選に選ばれている。閘門としての本来の役割を終えた今も、名古屋の交通、産業、都市計画の歴史を物語る貴重な建造物として市民に親しまれている。

中川運河側に整備された松重閘門公園で憩いのひと時を

二対の水門の間を江川線と名古屋高速が通り、忙しなく車が行き交う場所ではあるが、中川運河側の水門付近には小さな公園「松重閘門公園」がある。今の時期は梅、春になれば桜が咲くため、季節の花を愛でることができる写真スポットとして親しまれている。小さなベンチがいくつか用意されているので、散歩に疲れたら一息つく場所として使うのもおすすめだ。最寄駅の名鉄本線山王駅からは徒歩5分ほど。近くには温泉もあるのでゆっくりとした休日を過ごしてみては。